EXHIBITION

【スタッフ日記】軽井沢・セゾン現代美術館「都市は自然」展で、ブックアートを堪能してみた!

こんにちは、スタッフKです!

自然豊かな緑に囲まれた、セゾン現代美術館では現在、ブックアーティスト 太田泰友が出展する展覧会「都市は自然」が開催されています。本日は、久しぶりのスタッフ日記として、その展示の様子をご紹介いたします。

セゾン現代美術館は、1981年の開館以来、長野県軽井沢町の森の中で自然と共生しながら、現代美術の魅力を発信し続けています。

美術館に到着すると、私たちを出迎えてくれるのは一面緑に埋め尽くされた美しい庭園。御影用水に繋がっている(らしい…)という小川のせせらぎと虫たちの声が、何とも心地よいBGMになり、思わず深呼吸してしまうような空間が広がっています! 樹々の中に点在する作品を発見しながら庭園を歩くうちに、日常から解放されて全身の五感が研ぎ澄まされ、アート鑑賞をするための準備体操が完了する。そんなイメージで、爽やかに展覧会場へと導かれました。

▲ 左:磯村 暖 右:太田 泰友

今回の展覧会「都市は自然」は、国内外のプロジェクトで活躍する建築家・團紀彦氏をゲスト・キュレーターに迎えて開催されたものです。軽井沢町の今後の都市と自然環境に対する提言を行うマスターアーキテクトに就任された團さんの建築は、その特徴として「自然との共生」を挙げられます。本展では、團さんの「共生」に関連した作品や画像資料に加え、美術家・大久保英治氏の新作インスタレーションも展示されています。

太田が出展させていただいているのは、セゾン現代美術館の館長・堤たか雄氏がキュレーションを務める「共生的社会」と題したセクション。独自の視点で社会問題に向き合う磯村暖氏と共に、近作を紹介していただいています。

アンディ・ ウォーホルやワシリー・カンディンスキー、ドナルド・ジャッド、パウル・クレー、ジャクソン・ポロック、イヴ・クラインなど、セゾン現代美術館がコレクションしている錚々たる作家たちのアートをこれでもかと堪能し、大きな展示室の出口まで辿り着いたところで、太田の作品は登場します!

▲ 太田泰友「Book Para-Site」 2019

太田が出展しているのは、5つの作品。

まず最初に目に飛び込んでくる、巨大な赤い本「Book Para-Site」は、昨年11月から今年の1月末まで、東京・八重洲で展示されていたものです。オフィスビルのウィンドウスペースの中で、空間を埋め尽くすように〈寄生〉していた作品が、美術館という新しい環境の中で、展示室の空間や他の出品作品と新しい関係を作りながら、街中とはまた違った佇まいを見せています。八重洲では観ることが出来なかった、裏側や側面もご覧ただけます。

▲ 太田泰友「Die Forelle(鱒)」2014年

台の上に展示されている「Die Forelle(鱒)」は、フランツ・シューベルトの歌曲『鱒』の詩を題材としたブックアート作品。
ページ一枚の構造は竹簡の構造を採っており、その構造から生まれる独特な動きは水や川の中での鱒の動きを連想させます。通常の竹簡と異なるのは、それら一枚一枚が束となって綴じられていること。竹簡のアジアを連想させるイメージから一転、エジプトや西洋の伝統的な本の形を連想させるコプティック製本を応用した構造になっています。
躍動感のある形で立ち上がる鱒の姿を眺めて居ると、アクリルの展示ケースが、まるで水槽のようにも見えて来ます。ぜひ、色々な角度からご覧いただきたい作品です!

▲ 太田泰友「Frucht II」「Frucht I」「Frucht III」2017年

「Die Forelle(鱒)」の反対側には、「Frucht II」「Frucht I」「Frucht III」の三部作が展示されています。
これらの作品は、モチーフとなっているフルーツを、本という形の中に移し替えたものです。ページ一枚の厚さと同じ厚さにスライスしたフルーツのグラフィックを本の中身として配置し、側面のテキストの中の空白は、その角度から見たフルーツのスライスの直径と同じ幅になっており、外観から元のフルーツの形を知ることができます。
作品の中身は、映像で展示していますので、そちらもあわせてお楽しみください。

ちなみに…
私 スタッフK として、どうしてもお伝えしておきたいのが、美術館のカフェ「ヤマアラシ」の魅力。本棚に囲まれた店内の席の他に、樹々を眺められるテラス席もあり、展覧会を堪能した後のリラックスにはピッタリの場所です。
地元産オーガニック素材を取り入れた料理は、名物の麻婆豆腐など、どれも本格的な美味しさですが、中でも、OTAブックアートチームのお気に入りは、ビーフピラフ。ここに来れば、芸術の秋、食欲の秋、どちらも堪能できますね!

話は少し逸れましたが…
数々の作品が並ぶ美術館という空間でブックアートに出会った時、〈本〉はどのように見えてくるのか。鑑賞者の数だけ、また新しい発見があることと思います。みなさんも、秋深まったセゾン現代美術館で、芸術としての〈本〉を味わってみませんか?

都市は自然

会場セゾン現代美術館  ☞ Googleマップ
会期| 2020年7月26日(日)- 2020年11月23日(月・祝)
開館時間| 10:00 - 18:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日| 木曜日(8月は無休)
入館料| 一般 1,500円(1,400円)、大高生 1,000円(900円)、中小生500円(400円)
( )は団体20名以上の料金 ※当面の間、団体のお申込みは受付けておりません。

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