EXHIBITION

「Brillia Culture Spice」オープニングイベントで新作 “Book Para-Site 2—betwixt boards” を発表しました。

こんにちは、スタッフKです!
2020年1月27日(月)から29日(水)、上野の森美術館 ギャラリーにて 「Brillia Culture Spice」 が開催され、ブックアーティスト 太田泰友の新作 “Book Para-Site 2—betwixt boards” を展示させていただきました。

同展は、東京建物のマンションブランド Brillia が、豊かなライフスタイルを彩り、感性を満たすためのさまざまなスパイスを届けることを目指して初開催されました。2018年から実施されている「Brillia ART AWARD」の歴代入選者による作品展示と、ブリリアショートショートシアターオンラインによるショートフィルムの上映を楽しむことができるイベントです。

一般公開を前に、1月25日(土)にはそのオープニングとして、出展アーティスト8名と「公益財団法人 彫刻の森芸術文化財団」の坂本浩章さんによるトークイベントが行われ、一人ひとりが作品について語る機会をいただきました。

トークイベントは、坂本さんのこんなお話から始まりました。

日本において、アートの発展に対する国としての対策がまだまだ充実していない部分が多い中で、民間の企業がアーティストの力を引き出して支援し、活躍の場を広げることは、アーティストにとって非常に大事なことであり、企業にとっても〈新しい発見〉につながる。そして、それを自分の暮らしの中に取り入れて、アートと共に生活しているということも、自分自身の一つの〈アイデンティティ〉になるのではないだろうか。

冒頭でこのように、企業として、個人として、アーティスト以外の立場からの〈アートとの関わり方〉を提示していただいたことで、会場の方々にも、アート作品は美術館で観るだけのものではなく〈自分の暮らしに取り入れられる存在である〉という前提で、親近感を持ってこの後のトークを聞いていただけたことと思います。

太田のトークはまず、ブックアーティストとは? というお話からはじまり、新作 “Book Para-Site 2—betwixt boards” のコンセプトをお伝えしました。今回の作品は、ウィリアム・モリスの『理想の書物』の一節をきっかけとして、本をモチーフに制作された作品。本の表紙と表紙、ページとページの間に介在する思想や、物質的な本との出会いもまた日常に潜んでいる、というメッセージが込められています。

解説の中では、八重洲で展示されている「Brillia ART AWARD」入選作品 “Book Para-Site” の話も絡めながら、太田のバイブルである『理想の書物』の本を片手に、2つの作品に刻まれたモリスの一節をその場で朗読。作品に添えられたキャプションの文章では語りきれない制作意図をお話しました。トークを聞き逃した方へ向けて、この作品の詳細はまた改めて、こちらのブログでご紹介させていただきます!

そして、トークイベントの最後は、坂本さんのこのようなお話で締めくくられました。

現代アートは「解りにくい」と言われることが多い。それは何故だろうか。「これは花です」「これはリンゴです」など、そのモノの形が「これは○○です」と説明できる形だと解りやすいと言われるが、現代アートは「何が言いたいのか、何の形なのか解らない」と捉えられがちだ。しかし、一見難解に見える現代アートにも、作品の中に何らかのストーリーがきちんと存在していて、今回の出展作品にも、今の環境の中で生まれた、若い世代の人たちが感じ取ったことが表現されている。

昔の西洋画や風景画は、「これは聖書の一節のこの箇所を表しているな」「これはあの場所の景色だな」といった意味合いで鑑賞すると思うが、物が配置されただけに見えるような〈静物画〉にも、様々なメッセージが詰まっている。

例えば、Aさんという方の肖像を意味した絵であれば、その人がどんな哲学を持っていたのか、ということが分かる哲学の本が置いてあったり、その人の優しい性格を表す花言葉を持つ花が飾ってあったりする。パッと見では花瓶と本が並べられただけの静物画が、実はある人物そのものを表した絵だったりするのだ。そんな風に、昔からアートの中には様々なメッセージが含まれていて、それを生活の中に取り入れるというのは、面白い発見にも繋がる。

今日ここでも、作家たちのトークを聞いて「実はそういうことが言いたい作品なんだ」「だからこの形になったんだ」と、作品の核を掴み取っていただけたのではないだろうか。


太田の Book Para-Site シリーズもまさに、鑑賞者が〈想像〉を巡らせるほど面白くなる作品です。この本の中には何が書かれているのだろうか、どんな人が書き、どんな人が読む本なのか、自分にとって本とはどんな存在か、など答えのない物語を読み解いていただけたら嬉しいです。

このイベントでは、これまで接する機会のなかった、分野の異なる同世代のアーティストのみなさんや、トークでご一緒した坂本浩章さんのお話を伺い、私 スタッフKも刺激をいただきました。イベントにご参加いただいたみなさま、関係者の皆様、貴重な機会をありがとうございました。今回発表した新作 “Book Para-Site 2—betwixt boards” については、改めてブログを書きますので、そちらをお楽しみに!

▼ 東京・八重洲で展示中の、Brillia ART AWARD入選作品 “Book Para-Site” ▼

Brillia ART AWARD入選作品 “Book Para-Site” に関する記事はこちら
☞ 東京・八重洲に巨大な本が出現!太田泰友 “Book Para-Site” 公開
☞ 【映像】太田泰友の作品 “Book Para-Site” の動画を公開しました。

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