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【オーダーメイド】箔押しで年を重ねるオリジナル手帳、はじめました。

「孝本真子ブックワークス」さんからオーダーをいただき、手帳の表紙に箔押しをしました。孝本さんは、年が変わって手帳を新しくする度に、表紙を分解し、それを新しい手帳に貼り替えて、何年もひとつの表紙を使い続けているそうです。

そこで一年に一度、その年の西暦を箔押しで刻んでいきたいと考えるようになり、ブックアーティストである太田泰友にご相談をいただいたのが、プロジェクトのはじまりでした。今回のオーダーは、「手帳を使い始めた2017年から今年までの数字を、表紙と裏表紙に箔押しして欲しい」という内容。

本日は、このオリジナルの〈箔押し手帳〉について、OTAブックアートのスタッフK がご紹介します!

ご相談をいただいてから数日後、太田の手元に届いたのは使い込まれた2枚の革貼りのボード。手帳を挟む表紙と裏表紙です。と言っても、どちらのボードを表の表紙にするのか、天地左右の方向も決まってはおらず、その年によって変わります。

表紙に用いられたヌメ革の表面には、色の濃淡があったり、所々にシミや傷のようなもの、角が当たって少し潰れ気味になっているところなど、元々の革が持っていた質感と、手帳を使ってきた日々の足跡が蓄積されています。

きっと孝本さんの手にしっかり馴染んでいるのだろう、と伝わってくる味わい深い表紙の姿を眺めながら、そこに手を加えることの責任の重みもひしひしと感じました。

活字の中から、この手帳が使われてきた年号の数字を拾い集めます。今回箔押しするのは、2017・2018・2019・2020 の文字。

「デザインはお任せします!」と言っていただいたので、太田の感覚で色や書体、レイアウトを決めていきます。来年以降もこれから毎年、手帳を新しくする度に西暦の箔押しを加えていきたい、という計画も想定して、ランダム感を出しながら、増える程に面白くなるような構成で作ることにしました。

本番用の素材しか無いので、当然、試し押しは出来ません。素材との相性によっては、箔が定着しづらい可能性もあります。ミスはもちろん許されませんが、テストもできない大仕事に、さすがの太田も少しヒリヒリしている様子…。箔を押しては細かくチェックして、押し方の加減を随時調整しながら作業を進め、無事に失敗もなく西暦が刻み込まれました!

こうして出来上がった表紙と裏表紙。箔押しで刻まれた4つの西暦は、色も書体もバラバラに、次はどんな一年になるのかと想像したくなるようなものに仕上がりました。

ここから先の製本作業は、依頼主である孝本さんにバトンタッチです。太田が箔押しした表紙と裏表紙をお渡しして、孝本さんが自ら手帳の形に仕上げていきます。どのような手帳になるのかは、お楽しみ。

孝本さんから渡された革表紙を見て、それにふさわしい箔押しのプランを太田が考えたように、太田の箔押しした表紙を受け取って孝本さんが手帳を組み立てる、セッションのような進め方で完成へと向かいます。

そして完成した手帳がこちら! しおり紐に水色、赤、紺色の3色。写真では分かりませんが、開いてすぐの見返しと呼ばれるページにはベージュ色が取り入れられ、太田が箔押しに使った4色を見事に取り入れたデザインになっています。

背のパーツに使われているのは羊のファー。孝本さんも初めて使ったので、毛をカットしたり、花布用に増毛したり、削ぐときのジョリジョリ感だったり、いろいろ新感覚体験で面白かったそうです。

思い描いていたプロジェクトを形にしてみて、孝本さんからは、「重くなりがちな箔押しが OTAカラーで軽やかになり、箔押しひとつで、こんなにもリフレッシュしたり愛着が湧いたりするなんて素敵だなと思いました!」というご感想もいただきました。

使った年数の分だけ表紙が彩られて行く手帳。一冊の〈本〉を部分的に新しく作り変えながら、大切に永く使い続けるなんて、とても素敵な考え方ですよね!

日本では、本を修理して使うという文化は日常にあまり定着していませんが、欧米では図書室に修復室が備え付けられているなど、本を〈直して使い続ける〉ということが定着しているそうです。(← 太田の連載 「本を温ねて、ブックアートを知る 第21回」 から学んだことを言ってみました。)ですから、この手帳のスタイルは、おそらく理想的な本のあり方なのだと思います。これから、孝本さんの歴史と共に、表紙の数字が増えて行くのが楽しみですね。


今回は、孝本さんご自身が使うために制作した事例でしたが、このコラボレーションを皮切りに、手帳を〈カスタム〉する面白さを多くの方に知っていただき、楽しんでいただきたいと考えています。孝本真子ブックワークスさんとOTAブックアートでは、このプロジェクトを広げていく準備を始めています。このようなオーダーメイドの手帳や本に興味がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

OTAブックアート|info@ota-bookarts.jp

オーダーをくださった「孝本真子ブックワークス」さんは、本の修理や改装、和綴じ製本教室などを実施されています。詳しくは、こちらの webサイトをご覧ください。
http://macobookworks.jp/


太田が使用した箔押しの道具は、こちらからご覧いただけます。
OTAブックアート ショッピングセンター〈箔押し道具〉

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