OTAブックアートの製本ワークショップ通年プログラム 3回目は、和本の代表的な綴じ方である四つ目綴じです。
初めて自分で四つ目綴じをやってみた時、隣の穴へと針を動かして行ったり来たりしているうちに、一筆書きのように最初に針を刺した穴に戻ってくるのが面白いと感じたのを覚えています。
和本は見たことがあるけれども作るのは初めてなメンバーばかり。見えない所に下綴じがしてあるとか、表紙の天地は糊付けされていないとか、小さな発見がいろいろあったようです。
中でも下綴じに使う “こより” を作る工程では、苦戦しているメンバーも多かったです。漢字で “紙縒り” と書くとおり、細長い和紙を指先でクルクルと丸めていくのですが、切れにくい丈夫なこよりを作るのには慣れも必要です。
また、洋本と違って柔らかくしなる本文に手こずる人も多く、これまでとは勝手が違うようでした。
四つ目綴じは海外でもオリエンタルバインディングなどと呼ばれて洋本の作り方にアレンジされたり、綴じ穴の配置を工夫して糸で図形を描いたりと、新しいアイデアで楽しまれています。表紙の部分を綴じたり本文部分が袋状になっているといった特徴を生かした作品作りも考えられそうです。
今回は銀杏の葉をお土産にプレゼント。古本屋勤めだった頃、古い和本の検品をしているとよく銀杏の葉が出てきたことを思い出して用意しておいたものでした。銀杏の葉には防虫効果があると言われています。いつの時代か、どこの誰かも知らない人がその本を大事に思い挟んだ銀杏の葉、見つけると過去からのメッセージを受け取ったような少し温かい気持ちになったものでした。こんな本にまつわるちょっとした事が、後に本作りのアイデアにつながる事もあるかもしれません。
ワークショップで初めて作った物が納得のいく仕上がりにならないことも多いです。もちろん初めてなのだから、それも当たり前。上達するには何度もやってみるしかありません。
そうとはいえ製本を始めたばかりだと、慣れない紙屋さんで何を買えばよいか迷ったり、材料を揃えるのだけでも大変だったりします。そこでこの通年ワークショップでは、家でも練習がしやすいように使用した材料をまとめた復習セットを用意して、希望者は購入できるようにしています。材料の色の組み合わせで仕上がりの雰囲気も変わるので、どのセットを買うか迷うのもまた一つの楽しみになっているようです。
行きつ戻りつ、道はまだまだ続きます。
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