WORKSHOP

【スタッフ佐藤の Binding Road】#8 漸進「カルトン」

1月からの緊急事態宣言があけた4月、約2ヶ月ぶりにアトリエで開催したOTAブックアートの製本ワークショップのお題はカルトンでした。

フランス語で「厚紙」を意味するカルトン、デッサンの時に画板としても使う大きなサイズの紙挟みを思い浮かべる方も多いかもしれません。今回作ったのはもう少し小ぶりのもの。ワークショップの行き帰りにメンバーに使って欲しいという意図もあり、毎回用意するA5サイズの制作手順のレジュメがちょうど入るサイズで作りました。このレジュメはスタッフでアイデアを出し合って作ったもので「ワーク折丁」と呼んでいます。詳しくお話したいですが、この話はまた別の機会に取っておきましょう。

カルトン作りは、まず表側に貼る布を自分達で裏打ちをすることから始めました。布と薄い和紙を水溶き糊で貼り合わせて乾かします。この裏打ちをする事で、布が製本クロスのように使えるようになります。布は各自が好みのものを用意したので、いつものワークショップよりもいっそうメンバーの個性が感じられました。糊を塗った薄い大きな和紙の動きをコントロールするのは慣れないと難しく、みんな悪戦苦闘していました。

カルトン自体はどちらかというと製本というより文房具や画材のイメージかもしれませんが、これまで学んだ作業の復習になる部分もありますし、これから始めるくるみ製本の予習にもなります。

今回は平ゴムで留める仕様にしました。ゴムを取り付ける穴を開ける「平目打ち」は、製本ワークショップでは初めて出てきた道具。回を重ねるごとに新しい道具の使い方も覚えていきます。一方で、家で作る時に平目打ちがなくてもできるよう、カッターで穴を開ける方法も試しました。

カルトンを作れるようになると、これまでのワークショップで取り上げてきた「一折り中綴じ」「折本」の作り方と組み合わせれば、作れるものの幅が広がります。

月に1回、そしてコロナ禍で中断しながらなのでゆっくりではありますが、少しずつできることが増えています。

関連記事
【スタッフ佐藤の Binding Road】#7 2つのルーツ? 「Secret Belgian Binding」
【スタッフ佐藤の Binding Road】#6 離れていても 「交差式製本」
【スタッフ佐藤の Binding Road】#5 長い旅路「コプティック製本」
【スタッフ佐藤の Binding Road】#4 行きつ戻りつ「四ツ目綴じ」
【スタッフ佐藤の Binding Road】#3 山あり谷あり「折本」
【スタッフ佐藤の Binding Road】#2 一歩目「一折中綴じ」
【スタッフ佐藤の Binding Road】#1 はじまり
OTAブックラボに関する記事はこちら。
個人ワークショップに関する記事はこちら。
企画ワークショップに関する記事はこちら。

関連記事

  1. 【スタッフ佐藤の Binding Road】#19 シュプール「…
  2. 【スタッフ佐藤の Binding Road】#22 覇王の道「帙…
  3. 【レポート】2019年8月18日「OTAブックラボ」ラボミーティ…
  4. 【お知らせ】2020年1月26日(日)「OTAブックアート 箔押…
  5. 【スタッフ佐藤の Binding Road】#15 お散歩ついで…
  6. 【スタッフ佐藤の Binding Road】#21 ブックトレイ…
  7. 【レポート】2019年9月10日「OTAブックラボ」個人ワークシ…
  8. 【スタッフ佐藤の Binding Road】#14 追分「夫婦箱…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

【スタッフ日記】オーストラリア “Canberra Craft Bookbinders Guild” からの訪問。

ブックアーティスト 太田泰友 が、ブックアートのための〈活動・発信・実験の場〉とし…

【お知らせ】太田泰友が出展する「ポーラ ミュージアム アネックス展2020 —真正と発気—」の延期開催が決定しました。

新型コロナウイルスの影響のため、3月2日より臨時休館となり、クローズ状態のまま…

「Brillia Culture Spice」オープニングイベントで新作 “Book Para-Site 2—betwixt boards” を発表しました。

こんにちは、スタッフKです!2020年1月27日(月)から29日(水)…

PAGE TOP