OTAブックアート2回目のオンライン製本ワークショップを開催しました。今回取り上げたのは Secret Belgian Binding です。
Secret Belgian Binding は、15世紀頃にベルギーで作られていた製本方法で長らく不明だった作り方を、アメリカの製本家 Hedy Kyle さんが解明したと言われています。その経緯が「Secret(秘密の)」と言われる所以のようです。
この綴じ方にはもう一つ、Criss Cross Binding という名前もあります。こちらはベルギーの製本家 Anne Goy さんが 1980年代に生み出したと言われています。和本の四つ目綴じのような見た目で、開きの良い西洋式の製本方法を作りたかったのだそうです。
どちらのルーツが正しいのかは分かりませんが、どちらにせよ見た目と作りの面白さから興味をそそられる製本方法です。パタパタと表と裏が交互に出てくるからくり民芸玩具のような表紙ボードの不思議な動きから、「秘密の」と呼びたくなる気持ちも分かるような気がします。
特徴は、糸だけで繋ぎ合わされた表紙ボード。そして、背のボードに巻きつけた糸に折丁を綴じつけていく綴じ方です。
作業は手元カメラで糸の運び方などを大きく写しながら進めました。仕上がりの見た目からは複雑な作業をしていそうですが、実は作りはさほど難しくはありません。工程が多いので、仕上げた後の満足感は高いのではないかと思います。
今回は、オンタイムで参加できるのはお一人だけで、他の参加者は動画配信という形をとりました。これもOTA ブックアート製本ワークショップとしては、初の試みです。今回はブックラボメンバー限定のお試しということで手探り状態でしたが、いつかもっと多くの方にご参加いただける機会があるかも知れません。
紙選びは、前回のオンラインワークショップ同様に、キーワードでイメージを伝えてもらい、代表の太田が紙をセレクトして送るという方法をとりました。
ここで代表太田の遊びゴゴロが発動!送る紙の種類を増やす一方で枚数は少なくし、表紙・背・見返しのそれぞれの紙をより自由に組み合わせられるようにしたのです。
例えば、表紙2枚を同じ色にしたら背は違う色になるといった具合です。もちろん、全ての部分に違う種類の紙を使うことも可能です。材料を受け取った参加者の皆さんも、カラフルな紙の束にワクワクしたのではないでしょうか。
結果はぜひ、参加者の皆さんが寄せてくださった仕上がり写真をご覧ください。
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