前編 では、OTAブックアートの企画製本ワークショップである造本研究のテーマとして取り上げたガードルブックについて、紹介してきました。
そんなガードルブックのようなポータブル/ウエアラブルな本を考えてみようというのが、今回の造本研究の課題でした。発想の練習なので、実現可能かどうかは二の次で、どんなに笑っちゃうようなアイデアでもOKということにしました。
腕につける、頭にかぶる、背負う、洋服として着る、などなど。それぞれのアイデアを発表しながら、この本にはこういう内容が合いそうなどと意見を出し合いました。一見びっくりするようなアイデアでも、内容と組み合わせると「あり得るかもしれない」と思ってきたりもします。本とスマートフォンを一体化させるアイデアでは、本当にあったら便利そうなどと盛り上がったりしました。
その後はこれまでの造本研究と同じく、いくつかの本を実際に手に取りながら思いついたことを自由にコメントし合いました。
今回のポータブル/ウエアラブルな本を考えてみるのは半分遊びのようなものでしたが、「本とはこういうもの」という固定観念を取り払ってみることで、作品作りの発想の幅が広がればと思います。
私自身、これまで製本を学んできた中で、本はきちんと直角を取って美しい四角に仕上げるものという考えにとらわれていたかもしれません。奇抜な見た目の本を作るのがブックアートという訳ではありませんが、挑戦してみようと思った根底には、そんな固定観念からはみ出してみたいという冒険心があったのかもしれません。
最後に、こちらは私の母が若い頃に使っていた本型のロケットです。指の先に乗せられるほどの小さな本の中には、さらに小さな父と姉と私の写真が入っています。これもまた、一つのウエアラブルな本の形。
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