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【スタッフ佐藤の Binding Road】#6 離れていても 「交差式製本」

年明けの緊急事態宣言を受け、昨年10月から始まったOTAブックアート製本ワークショップの通年プログラムも残念ながら一時中断です。でもそれではつまらない!ということで、初めて製本のオンラインワークショップを開催しました。

今回取り上げた交差式製本は1990年代にイタリアの製本家カルメンチョ・アレギ(Carmencho Arregui)氏によって考案されました。長い製本の歴史の中では新しい作り方と言えます。
英語ではCrossed Structure Binding、その名の通り構造部分は紙を交差させた作りで、糊を使わない比較的ラフな印象の仕上がりになります。紙と綴じ糸の色と形の組み合わせによって表紙に様々な表情が生まれるのが面白いところです。

オンラインワークショップは私自身も初めての経験でしたが、画面共有や手書きフリップを使って進めました。
表紙の交差している構造部分の説明や綴じの作業の時は、手元をカメラでアップに映すことで、アトリエで開催するワークショップの時よりもむしろよく見えたかもしれません。参加者全員が同じ条件で細部を見ることができるのは、オンラインならではの利点です。

構造とデザインが直結している交差式製本では、表紙デザインが大きなポイントになります。
今回はデザインを参加者それぞれで考えてもらいました。構造上可能かどうかデザイン画をカメラに寄せて確認をするなど、これまたオンラインならではのやり取りもありました。

OTAブックラボ製本ワークショップの一つの特徴として、毎回可能なものは参加者に使用する紙を選んでもらっています。
どこの部分に使うのか、どれくらいの厚みか、表面の質感など、適した紙の情報を伝えて紙の見本帳から選んでもらいます。また、使用する紙の情報は毎回伝えています。
こうして自分で材料を選び、紙の種類を知る経験を重ねることで、ご自身で作品を作るときの役に立てばと思っています。

今回のオンラインワークショップでは、直接参加者に使用紙を選んでもらう事はできませんでした。ただ、交差式製本では表紙の紙の組み合わせが作品の出来上がりに大きく影響します。そこで、オンライン開催ならではの遊びを試みました。
事前に希望する紙のイメージを10文字以内のキーワードで伝えてもらい、その言葉を頼りに代表の太田が紙を選んで送ることにしたのです。キーワードを使う事で受け取る言葉のイメージの一致や違いも感じられ、材料を待つ楽しみも生まれればという意図でした。

私のキーワードは、「ブログ映え」と「春を先取り」。届いた紙は自分で選ぶのとは一味違ったセレクトで、新鮮でした。カラフルな紙の組み合わせと工夫したデザインで、参加者それぞれの個性が出る仕上がりになり、最後はカメラの前に本を持ってきて記念撮影。

投げた言葉のイメージが紙という目に見える形で戻ってきて、それを自分で組み合わせて本をつくる。離れているからこその楽しみ方を実感したオンラインワークショップでした。

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個人ワークショップに関する記事はこちら。
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