今回は、通常の製本ワークショップとは違い、OTAブックアート主催の太田による製本ワークショップのレポートです。
太田の代表作とも言える fluits シリーズは、厚みのあるページを糸で綴じた仕様です。この作品を見て「この綴じ、どうなってるの?」と思う方も多いのではないでしょうか。
この綴じ方は、特に名前はついていないようです。見た目はコプティック製本の表紙の付け方に似ているようですが、頭で考えてもよく分からず…という訳で、ブックラボメンバーからの要望もあり、太田による綴じのワークショップ開催です。今回は、私も生徒として参加しました。
針を糸の両端に付ける、粘葉装のような綴じ始めです。そしてこの綴じ始めがややこしい。一行程ごとに説明を受けてはやってみるという流れで進められたのですが、何行程か進めると、もはや最初を忘れそうになっていました。
糸が折帖の内側から入って上の折帖に外側から入って、下の折帖に外側から入って 2つ上の折帖に内側から入って、下の折帖と折帖の間の糸を掬って…言葉で説明しても頭の中がこんがらがってきます。綴じた後の糸を見てもどうなっているか分かりません。糸の絡み方は、もはや攻略困難なダンジョン。
そんなスタートを乗り切ると、途中は同じ作業の繰り返しですが、ここも気を抜くと糸が緩んだり、一行程飛ばしたりしてしまうので、集中が必要でした。綴じ終わりで糸を結ぶ段階でも、緩すぎずキツすぎず、この綴じ方ならではの注意点があったりして、初めてだとなかなかに大変な作業でした。
ワークショップ後、練習のために花札を綴じてみました。なんとか仕上げましたが、背に見える綴じ糸は、ラインがガタガタになってしまいました。糸をどの段階でどの程度の力加減で引くのか、美しい仕上がりにするためには、もう少し練習が必要そうです。
講師をやらせていただいているとはいえ、まだ試したことのない綴じ方はいろいろあります。今回は久しぶりに新鮮な気持ちで学ぶことができて、良い刺激になりました。
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