さて、6月から新装開店したOTAブックアートの製本ワークショップ、毎月1、2回のペースで開催しています。今期からは、参加者それぞれが希望する内容を選ぶ方式にしています。今期から参加のメンバーは初歩的な折本や一折中綴じから始める一方、前期から引き続きのメンバーでは初めての丸背に挑戦する人も。基本的な作業を繰り返しつつ、新しい材料や道具が登場する機会も増えてきました。
自分の作品に取り入れたい造りを相談しながら試してみることもあります。各自が違う作業に取り組む姿を見ながら、それぞれの歩幅で進んでいるなあと密かに嬉しくなったりしています。先日は絡んで固い玉になってしまった綴じ糸を鮮やかに解いてしまう玉解き職人が現れるなど、和気あいあいとした時間が流れていきます。
工程の中で苦戦する人が多いのが、表紙などに使う厚手のボードのカットです。2ミリの厚みでもカットするのは結構な力がいりますし、切り口が斜めにならないように気をつけるのもなかなか大変です。うまくいかずに何度も切り直すこともあります。手が疲れる作業ですので断裁機に頼りたくなるのは山々ですが、このワークショップでは自宅で自分一人でも本が作れるように、ボードを手で切れるようになることを大事にしています。
一般的には、厚いボードを着るときは大型刃のカッターを使うことが多いと思います。でも刃先が30度のカッターを愛用している私は、厚いボードも30度カッターの方が切りやすく感じます。右利き、左利き、体格、手の大きさ、力の強さ、手の動かし方の癖など、人それぞれ違います。そのため、どんなカッターを選ぶか、握り方、刃を倒す角度、定規の当て方、力の入れ具合など、適した道具と切り方は人によって変わってくると思います。
参考までに私が気を付けている点などをお伝えすることはできますが、それが他の人に合うかどうかは分かりません。そのため、ボードを何度も切ってみて、自分に合うやり方を探ってもらえればと思っています。誰の場合でも共通して言えることは、カッターの刃は、切れなくなったら即新しくすることですかね。
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